見落としがちな負債、住宅ローンや事業ローンに気をつけよう

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今回も「見落としがちな」財産です。前回は株式や証券について、インターネット普及による株券のネット化による相続の手間増大などをお伝えしました。そうは言ってもプラスの資産。相続資産はこのようなプラスの資産だけではありません。

相続の対象となる資産には、マイナスの資産、いわゆる「負債」も含まれます。負債と聞くとどうも聞きなれないですが、借入金や残債といえば生活に近い言葉として認識できますね。これら負債のなかでも、「住宅ローン」や「事業ローン」など、見落としがちな負債には注意が必要です。

1、住宅ローンや事業ローンが見落とされがちな理由

住宅ローンや事業ローンが相続時に見落とされがちなのは、ローンを借りることで入手できる本来の「目的物」が、既に手に入っていることが理由として挙げられます。住宅ローンの場合は住宅(物件・土地を含む)、事業ローンの場合は借入れた現預金や、その資金を使って購入した固定資産などであるからです。

ローンを使って購入した当人はもちろん、「これはローンで購入したもの」と覚えているでしょう。ただし、それを知らせずに万が一亡くなった場合、相続を引き継いだ子どもたち(相続人)がローンを存在を知る由もありません。相続人同士で分割協議をして、話がまとまってからローンによる「マイナス分」があったとすれば、分割の計算もやり直し、労力ばかりがかかってしまいますね。

2、ローンがあるかどうかを確認するには

それでは親世代・祖父母世代(被相続人)に、ローンの返済義務があるかどうかを確認するには、どうすればいいのでしょうか。

プラスの資産の際もお伝えしましたが、最も正確で迅速なのは、「生前のうちに確認すること」です。ローンの契約書のありかを伝えておくことが望ましいですが、ローンが存在することを伝達できているだけでも、円滑な相続に近づけることができます。

ローンの有無だけがわかっただけの段階で相続を迎えてしまった場合は、ローンの「貸し手」に問い合わせをするようにしましょう。子どもなど、正当な相続人であることがわかったら、銀行や信販会社などから借入金のスケジュールや返済の方法の教えて貰えるかもしれません。ただ、これはプラスの財産のときにもお伝えしましたが、最近はとても厳しい個人情報保護の時代。被相続人との近い関係を伝えたとしても、なかなかスムーズには借入の情報などが取得できないようになっているかもしれません。

やはり理想は、相続人が生存のうちに、ローンのありかを聞いておくこと。「親が死んだときの話をするのか」と怒られてしまうかもしれません。それでも、相続手続きに思わぬ負荷を課せぬために。見落としがちなローンの「相続」にも、気をつけるようにしたいものですね。

また、住宅ローンにしても事業ローンにしても、現在は過去に類をみない「超低金利時代」です。相続した負債は親世代が定めた当初のスケジュールで返済する必要などどこにもありません。借り換えなどを活用し、負担を減らすことを合わせて考えるようにしましょう。

工藤 崇 FP事務所MYS(マイス)代表
1982年北海道生まれ。北海学園大学法学部卒業後上京し、資格試験予備校、不動産会社、建築会社を経てFP事務所MYS(マイス)設立、代表に就任。雑誌寄稿、WEBコラムを中心とした執筆活動、個人コンサルを幅広く手掛ける。ファイナンシャルプランナー。