自筆遺言の危険性

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自筆遺言とは、民法968項で定められている、「自筆による遺言書」のことです。紙、ペン、印鑑があれば、いつでも誰にでも作成できる自筆遺言として、とても敷居が低い相続時の意思表明方法です。承認や立会人も不要です。2015年の相続税法改正により、実質的に増税になった相続のケースも多いことから、現在あらためて注目を浴びています。

ただ、自筆遺言を作成するときにはいくつかの注意点もあります。

1、作成上の注意点

(1) 全文を自筆すること

自筆遺言は、全文を本人が自筆しなければなりません。字が下手だからと誰かに代筆してもらうと無効となってしまいます。また、パソコンやワープロで作成した場合も、自筆遺言として認められません。録音、動画など、文字に書き起こされていないものも自筆遺言とは認められません。本人が自筆困難な状態にある場合は、公証役場に赴いて遺言を作成する「公正証書遺言」を検討するのも有効な方法です。

忘れがちなのは、日付、氏名についても自筆が必要な点。日付については、年月で留めず、「年月日」で記載するようにしましょう。また、よくトラブルの原因となりますが、「吉日」など日付が特定されない表記をすると有効にならないので注意しましょう。

(2)印鑑について

自筆遺言に押印する印鑑については、特に制限はないので認印でもルール上は問題ありません。しかし本人が記載したとより証明するためにも、実印の方が望ましいとされています。

(3)内容について

タイトルは「遺言書」とするのが一般的です。また、被相続人が内容を理解しやすいよう、誰に何を
遺贈するのかを簡潔に記載しましょう。遺言として有効になる財産に関する記述のほか、「今まで
有難う」といった遺族への記述(付帯事項といいます)を付ける方も多くいます。

2、訂正・変更方法

内容の変更については、効力を維持するために一定のルールが決められています。民法968条 2項にて「自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を 付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。」 とあります。
  

3、執行には家庭裁判所による「検認」が必要

自筆遺言は、遺言書の発見者または保管者が、遺言者の死後速やかに、遺言書を家庭裁判所に提出し、その検認を請求する必要があります。特に封印がある場合は、家庭裁判所で、相続人立会いの元、開封されなければなりません。遺言者の最後の住所地の家庭裁判所へ申し立てを行いましょう。

なお、この検認とは、遺言書の有効・無効を判定するものではなく、遺言書の内容の相続者への告知および、偽造・変更などがないかのチェックです。

有効となるかについては、まず、遺言書を見つけてもらうことが大切です。信頼できる人に託したり、相続時の一式が入った金庫に入れておくなど、遺言書をどう残しておくかについても留意しておきましょう。最近は貴重品を入れる「金庫」のない家庭が増えたことから、遺言書が見つからない、というケースも増えているとか。遺された家族ひとりくらいは、何となく遺言書の在処を伝えておいた方がいいかもしれませんね。
  

4、まとめ

いつでも作成でき、遺言書を残したい人にとっては便利な自筆遺言。「遺言書は敷居が高い」と作成せずに相続を迎え、大きなトラブルに発生してしまうケースも多くあります。敷居の低い自筆遺言をしっかりと作成し、相続人がスムーズに相続を行えるようにするためにも、ルールを把握して健康なうちに、きちんと作成・管理するようにしましょう。