相続贈与分野の2016年注目トピック!

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まもなく新しい1年が始まります。相続・贈与部門など様々な国の制度は毎年1月に代わることが多く、昨年は相続分野においてとても大きな「相続税基礎控除及び税率の変更」がありました。2016年は前年ほど大きな変更がないものの、相続税増税を受けて様々な「生前贈与」が更に本格化すると言われています。

 

まずは簡単に、2015年1月の相続税法改正についておさらいしてみましょう。

 

1、相続税法改正のポイント

 

(1)基礎控除の引き下げ

今回の相続税法改正では、基礎控除の額及び法定相続人1人あたりの控除額が引き下げられました。

改正内容 改正前 改正後 差額
定額分 5,000万円 3,000万円 2,000万円
法定相続分1人あたり 1,000万円 600万円 400万円

出典:国税庁資料(https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4152.htm)をもとに筆者作成。

 

(2)相続税の税率改正

 合わせて、相続評価額に係る税率が変更となっています。この部分が、「相続増税」と言われる根拠ですが、今回税率が上昇した6億円以上を有する超富裕層のみと言えるでしょう。

 

(改正前)

取得分金額 税率 控除額
1千万円以下 10% なし
1千万円超-3千万円以下 15% 50万円
3千万円超-5千万円以下 20% 200万円
5千万円超-1億円以下 30% 700万円
1億円超-3億円以下 40% 1,700万円
3億円超- 50% 4,700万円

 

(改正後)

取得分金額 税率 控除額
1千万円以下 10% なし
1千万円超-3千万円以下 15% 50万円
3千万円超-5千万円以下 20% 200万円
5千万円超-1億円以下 30% 700万円
1億円超-2億円以下 40% 1,700万円
2億円超-3億円以下 45% 2,700万円
3億円超-6億円以下 50% 4,200万円
6億円超- 55% 7,200万円

※「取得金額」は全体の相続財産ではなく、法定相続人1人に配分される財産です。

 

2、注目されている「生前贈与」

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この相続税改正を受けて、国も生前贈与を拡大。様々なケースが活発に行われるようになりました。主なものは「住宅」と「教育・結婚・子育て」です。

 

(1) 住宅取得等資金贈与の特例

前回の消費税増税時(5%→8%)後に住宅市場が大きく落ち込んだことを受けて、10%へ再増税する2017年に省エネ住宅等を購入すると、3,000万円が控除される制度。3,000万円の適用は2016年10月から開始し、その前は最大1,500万円が継続して控除されます。

 

なぜ2016年10月なのでしょうか。実は不動産や住宅購入・建築の特例で、消費税増税の半年前以前は現行税率、半年前からは新税率と定められているからです。そのため、半年前に増税駆け込みの住宅購入が増え、終了後反動が予測されるため、前年10月からの適用となっています。

 

(2) 教育資金贈与および結婚・子育て資金贈与

住宅取得等資金贈与と同様、上限1,500万円の教育資金贈与も利用されています。更に2015年4月より、結婚・子育て資金の贈与非課税措置も導入され、今後制度の浸透とともに利用のケースが増えていくと思われます。

 

3、まとめ

生前贈与を促進する非課税措置は、高齢者世帯から若年者世帯への資産移転が目的とされています。日本の資産所有状況を世代別に分析すると、購買意欲の低い高齢者層が多くの資産を有しており、逆に購買意欲の高い若年者層の所有資産が少ない、という状況があります。経済活性化の視点からも、購買意欲の高い世代に「資産」が回るようにするのは喫緊の課題です。そのために様々な非課税措置が拡大しています。近々、決定打として、「使用用途は問わない贈与税非課税措置」が導入されるのでは、という噂もあります。

 

以上、2016年の相続・贈与分野の注目トピックスを取り上げました。相続税改正から1年が経過し、実務上の様々な過大な修正点が出てくると予想されています。しっかりと注目していきたいものです。