相続税がかからないときも、念には念を押して確実な遺言書を用意しよう

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このサイトをご覧になっている皆さんは、ゆくゆく発生する相続について、何かしら悩んでいたり、対策をしたいと考えてたりする方が多いことと思います。
相続税がかかるかかからないか、それを知る方法は別のページでご紹介しました。
ご自身で計算してみた結果、ざっくりではありますが財産の把握ができ、相続税もかからないな、とほっとされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし相続の問題は、「相続税がかからないのならOK」というような、単純な問題ではありません。
相続税はかからなくても、亡くなった方名義の資産たちは、相続人の名義に変更しなくてはそのまま凍結されてしまい、相続人の方々のものにはならないのです。
その手続きを行うに当たって、資産の分け方などについて何も取り決めがなかった場合、残された相続人たちが苦労することになります。相続税がかからないときも、しっかりと遺言書は用意しておくべきです。確実な遺言書とはどんなものなのか?どんな点に注意すれば良いのかをご紹介します。

1、遺言の種類

遺言には、普通方式と特別方式という2つの方式があります。特別方式の遺言は、特別なやむを得ない状況の場合にのみ使われる遺言のことです。ここでは、資産を遺す方本人が、意志を持って準備を行う普通方式の遺言について紹介します。
普通方式の遺言は、3種類あります。
そのうち公正証書遺言と秘密証書遺言については、公証役場という「公的な文書」を作成してくれる機関で、「公証人」という専門家が関わって作成されます。

公正証書遺言 秘密証書遺言 自筆証書遺言
書く人 公証人
(口述筆記)
原則本人 本人が自筆で行う
(パソコン不可)
費用 最もかかる かかる かからない
証人 2人以上 2人以上 必要なし
遺言の内容 秘密にできない 秘密にできる 秘密にできる
保管 公証役場と本人 本人のみ 本人のみ
遺言書の存在 隠しておけない 隠しておける 隠しておける
裁判所の検認 必要ない 必要 必要

検認とは、「この遺言は本物で、有効ですよ」という裁判所のお墨付きをもらう行為です。この行為は遺言者が亡くなった直後から始めたとしても、最短で2か月ほどかかります。
公正証書遺言は、公証役場の公証人の方々と選任した証人の前で内容を明らかにしながら書き記す遺言書です。
それに対し秘密証書遺言は、あらかじめ自分で作成した遺言書を公証役場まで持っていき、「存在」だけを証明してもらうものです。
中身は確認されない為、内容を知られたくない場合には適しています。しかし、内容の確認をされていないため、裁判所の検認は受ける必要があります。ここで、遺言書の書き方や内容に不備があった場合は、無効とされる可能性もゼロではありません。
そして自筆証書遺言は、名前の通り、ご自身で作成するものです。
パソコンなどはNGで、必ず自筆で作成する必要があります。
当然費用はかからず、思い立った時に作成可能で書き直しも簡単にできますが、当然検認が必要なうえ、書き方に不備があれば無効になりますし、悪意ある者が発見した場合、内容を改ざんされてしまう可能性もあります。

2、一番確実な方法は、公正証書遺言

前章の表をご覧いただければ分かる通り、公正証書遺言は完成までに費用がかかる上、内容も証人には把握されてしまいます。しかし、公証役場という専門機関で専門家立会いの下遺言書を作成しておくことで、いざ相続が発生した時には確実に効力を発揮するという安心があります。

3、注意点をしっかり押さえて、無駄のない遺言書作成を

法的にしっかりと効力を発揮する遺言書を、自分だけで準備しておくのは非常に労力のいることです。一つでも不備があれば、意味のないものになってしまう可能性があります。
一方で、専門家に頼む場合は、完成するまでに、お金も時間もかかるものです。
公正証書遺言は、内容を変更するのにも費用がかかります。
作成する前に、資産の分け方を良く吟味し、遺言書作成時の注意点もよく理解したうえで、納得できる遺言書を作成しましょう。

工藤 崇 FP事務所MYS(マイス)代表
1982年北海道生まれ。北海学園大学法学部卒業後上京し、資格試験予備校、不動産会社、建築会社を経てFP事務所MYS(マイス)設立、代表に就任。雑誌寄稿、WEBコラムを中心とした執筆活動、個人コンサルを幅広く手掛ける。ファイナンシャルプランナー。