相続人が4人以上いるときに気をつけたいこと

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相続は「揉めやすい」といわれます。ではどのような相続が円滑に終わらず、争いが発生する、いわゆる「争族」となるかというと、資産を引き継ぐ「相続人」が多い場合、ということがいえるでしょう。

前回の復習になりますが、相続する資産は相続税法という法律により配分が決まっています。パターンは3通りです。

<相続税法による資産配分>

相続人が「配偶者・子」 配偶者1/2、子1/2
相続人が「配偶者・直系尊属(両親) 配偶者2/3、直系尊属1/3
相続人が「配偶者・兄弟姉妹」 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

子が2人いる場合は、子1/2×2人=1人あたりの子は1/4となるなど、子や直系尊属、兄弟姉妹が複数いる時は均等に配分することになります。

1、相続で難しいのは、全員の納得!

相続で難しいのは、何よりも全員が納得して財産配分を完了することです。上記の法律通りに配分して、配分しきれない不動産などは「自宅はおにいちゃん、その分現金貰うね」と解決するようだと、「争族」という言葉など生まれません。

誰が晩年介護状態になったおじいちゃん(財産を持っていた人、被相続人)の介護をしていたか、長男は孫が生まれたときに教育費と称して300万円を貰っていたではないか、だから上記の財産配分に、公平にするために「プラス」を付けて欲しい、という具合です。

遺言がなかったり、遺言に指定されていなかったりする財産がある場合、相続人は話し合って該当する相続の配分を決定します。その結果、「分割協議書」を作成して分割結果の証拠とします。遺産分割協議が完了するまで、不動産などの相続資産は相続人の「共有物」として扱われ、確定をもって個人の所有物となります。

この話し合いがうまくいかない場合は、家庭裁判所に遺産分割の請求をすることで、調停分割や信販分割といった裁定をすることができます。

この遺産分割協議、手続き完了においては相続人全員の合意が必要です。協議の結果作成する分割協議書では、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書の添付が義務づけられています。口頭だけの「同意」ではなく、法定相続人からの必須書類が多いところも分割協議の敷居が高い一因といえるでしょうか。

そして、この分割協議は、相続人が多いほど揉める傾向があるようです。「こうしたい」と希望する数が多くなっているから当然でしょうか。2人だとマンツーマンの話し合いなものの、3人とも利害調整が難しくなり、4人だと収拾がつきにくくなる、という具合でしょうか。

2、4人以上の相続は「調整役」の設置を

こうなったとき、相続の規定するさまざまな申告期限に間に合わず、相続人の大きな負担になることも少なくありません。解決するためには「調整役」を置くことをお勧めします。各相続人の「納得」と「妥協」を、バランス感覚を持って分配することができるでしょう。

この調整役は家族でも、司法書士や行政書士などの専門家でも構いません。家族のなかで、客観的に状況を見られる人がいる場合は、お願いするようにしましょう。通常、相続人となる当事者が調整役を兼ねることは、反対にトラブルになるためお勧めできません。

司法書士や行政書士など「士業」に知り合いがいる場合は、多少費用が必要となってもぜひ依頼するようにしましょう。実際の相続のケースでも、それまで被相続人の税務的な相談先だった税理士が相続をまとめる、という話もよく耳にします。法律や税務の知識を活用しながら、相続を円滑にまとめることができます。相続人が多いとき、ぜひ依頼して、解決の糸口とするようにしたいものですね。

工藤 崇 FP事務所MYS(マイス)代表
1982年北海道生まれ。北海学園大学法学部卒業後上京し、資格試験予備校、不動産会社、建築会社を経てFP事務所MYS(マイス)設立、代表に就任。雑誌寄稿、WEBコラムを中心とした執筆活動、個人コンサルを幅広く手掛ける。ファイナンシャルプランナー。