生命保険を相続目線で考える-「資産」になる生命保険

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60歳を過ぎて、会社員としてのリタイアが近づいてくると、引退後のセカンドライフに胸が高鳴る一方、「万が一」のことも考えなければ、と思うようになります。そんな頃、旧知の生命保険会社の営業マンから、「生命保険を相続目線で考えましょう」という提案を受けました。

生命保険は自身に何かがあったときの病気やケガに対する医療費の保障と、万が一亡くなったときの「遺族の生活費」として活用できる商品です。では、生命保険が相続目線で考えると、どのような特徴を持っているのでしょうか。

生命保険を活用して相続税を下げる

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(1) 現預金を所有している場合

現在、自身が1億円の「現預金」を所有していたとします。亡くなった時、現預金は長年連れ添った配偶者や、子どもたちに継がせたいと考えています。ただ、日本には「相続税」という税金があり、現金を渡すと相続税がかかります。

では、この1億円を生命保険に加入して、相続人を受取人にした場合はどうなるでしょうか。

具体的な家族イメージを持って見てみましょう。
ここに現在の資産所有者Aさん、奥様のBさん、お子様CさんとDさんがいるご一家があります。Aさんが所有している1億円。Aさんが亡くなった時、奥様・お子様は1億円を配分して相続します。
1億円-3,000万円(定額)×(600万×3『法定相続人の数』)

計算の結果、5,200万円が「課税価格」になります。平成27年1月1日以降、改正後の相続税率では、
5,200万円 × 30% - 700万円 = 860万円。

約1/10が相続税となってしまうのですね。これに対し、生命保険は、現預金に比べ「相続税を下げる効果」があります。

(2)「相続資産」になる生命保険

「生命保険は死亡後に受け取るものだから、相続資産にならないだろう」というのは誤りです。たとえば上記のAさん一家が、奥様を受取人、契約者および保険料支払者をAさんで1億円の終身保険に加入しているとします。Aさんが亡くなった時、奥様は1億円分の生命保険金を受け取ることができる一方、この保険には相続税が課税されます。

ただ、ここで重要なのが「生命保険の非課税枠」です。死亡保険金は遺族の生活費としての考慮がなされ、すべてについて相続税はかからず、非課税限度額が設定されています。

非課税限度額 = 500万円×法定相続人の数

このAさんの場合は、

1億円-3,000万円(定額)×(600万×3『法定相続人の数』)

計算の結果、5,200万円が「課税価格」になります。ここまでは現預金の場合と一緒です。ここから更に、

5,200万円 - (500万×3『法定相続人の数』)=3,700万円。

3,700万円 × 20% - 200万 = 540万円

現預金の場合の860万円と比較すると、320万円分の節税になります。とても大きいですね。このように、生命保険を相続目線で考えると、「資産」として相続税がかかる一方、非課税枠を活用することによって、現預金の相続と比べ節税が可能になります。

生命保険金は遺産分割の対象にはならない

民法では、保険金は受け取った人の固有の財産になると定められています。たとえばAさんが事業失敗により、多額の借金を残して亡くなった場合、奥様はAさんの資産を継がない「相続放棄」が避けられなくなってきます。この場合も、保険金は借金にまわす必要がなく、当面の生活費に困らないというメリットがあります。「この人には万が一の時、現金を残してあげたい」という願いを叶えられます。生命保険活用には、このような側面もあるのですね。

個人に限らず会社でも、この生命保険を活用して次世代への事業承継を進めることが可能です。詳しく見ていきましょう。