生前贈与は「孫に遺す」時代に…拡がる孫世代への資産移動

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前回の記事で、「所有資産が低いが、購買意欲が高い」若年者世代への資産移動が積極的に行われる背景をお伝えしました。この若年者層にとって、最もお金が必要となるのは「住宅」と「教育」です。現在、この2分野において贈与税の非課税措置が拡げられています。

1、「孫に遺す」最大のメリット…「相続開始3年前贈与」の対象にならない

通常の相続では、「親から子」に資産が移動します。その数十年後、「子から孫」に再び資産が移ります。当然、各相続時が相続税の課税対象となることになり、多額のお金を税金として支払わなければなりません。この状況を揶揄して、「日本では3回相続が行なわれると資産が国のものとなる」という指摘もあるほどです。

それでは相続になる前に、と生前贈与が活発になります。但し贈与の難しいところは、「被贈与者が元気なうちは、なかなか動きにくい」というところ。わかりますね。体調悪化の自覚や年齢を重ねることによって、「そろそろ生前贈与に取り組まなくては」と動きだします。ただ、この時にネックとなるのが、「相続開始前3年以内の贈与は相続財産に含む」というルールです。

このルールは、祖父母から孫への「一足飛びの生前贈与」に対しては対象外となります。3年以内ルールの対象となるのは、「相続または遺贈(遺言による財産の贈与)により財産を取得した人」のみです。孫の場合、この定義にはあたりませんので、1回分の相続をなくすことができます。

この方法では、年間110万円以下の暦年贈与での資産移動や、後述する住宅や教育での非課税措置を活用した生前贈与の際に有効です。詳しい説明は割愛しますが、その際は「特定用途に限る」ことや「連続した贈与とされない」工夫が必要ですので、専門家に相談するようにしましょう。

2、相続税精算課税制度の孫への拡充

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住宅購入はとても大きな額のお金が必要です。最近は物件価格や諸費用全額を住宅ローンで賄う方法(フルローン、といいます)も各金融機関において設定されておりますが、一般的には頭金として2割は欲しいところ。毎月の返済額を抑えるのは住宅ローンの賢い借り方です。
そんな住宅購入において、生前贈与を活用する具体的な方法が「相続税精算課税制度」です。

相続税精算課税制度とは、60歳以上の贈与者から20歳以上の子や孫に対して、現金の贈与を行った時に2,500万円までを非課税として、超えた部分には贈与税の20%のみを支払い、その後の死亡時(相続時)に、子・孫は贈与財産と相続時の財産を合算して相続税を算出し、すでに支払った贈与税を相続税から控除するという制度です。当初、贈与者は65歳以上、受贈者は子のみの適用だったのですが、平成27年以降の贈与から拡大しています。

この相続税精算課税制度以外にも、祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合は500万円まで(一定の省エネ住宅の場合は1,000万円まで)が非課税となる特例があります。これらは基礎控除と併用が可能ですので、通常500万+110万円で610万円。省エネ住宅は1,000万円+110万円で1,110万円までを非課税資産として贈与することが可能です。

当初「2014年までの有限措置」として行われていた非課税制度ですが、2019年まで延長されています。

同じような、孫世代への贈与拡充措置は「教育」の分野でも積極的に行われています。次回、その他の動きと合わせ、詳しくお伝えすることとしましょう。