生前贈与は「孫に遺す」時代に…所有資産と購買力の世代間ギャップ

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2015年1月の相続税「実質増税」をきっかけにして、現在資産を有する方の生前に資産を移動する、いわゆる「生前贈与」の動きが活発になっています。
相続税増税が決定した後、「生前贈与」の利用者が増えているひとつのデータがあります。2014年5月の国税庁発表による、贈与税の申告書を提出した方の数は49万1,000人。2012年調査の43万7,000人から5万5,000人(12.6%)増加しています。

贈与に関わりが深いキーワードが、「所有資産」と「購買意欲」の2つです。

1、 高齢者層の特徴 ~ 「所有資産」は多いが「購買意欲」は低い

まず、高齢者層における、2つのキーワードを見ていきましょう。
生命保険文化センターの調査による、世代別の資産所有状況です。
金融
出典:家計の金融行動に関する世論調査:平成26年 金融広報中央委員会
http://www.jili.or.jp/lifeplan/houseeconomy/asset/3.html

この表からわかるように、50歳台を超えたあたりから世帯単位の平均貯蓄額は一気に高まります。背景には「管理職など賃金ベースが急上昇する世帯主が増える」や「教育費に一段落がつく」ことなどがいえます。

ここで突然ですが閑話休題。ファイナンシャルプランナー(FP)が良く話のタネにする、「人生で最も高い買い物ベスト3」というものを見てみます。
答えを見る前に、少しだけ予想してみてください。

① 住宅
② 生命保険
③ 自動車

どうでしょう。予想は正解したでしょうか。もちろん公的な発表によるものではないため、
気軽に聞いて欲しいのですが、この①から③について読者の皆様にお伺いします。
「必要とする世代」は、どの年代でしょうか。

これら①から③のように、「人生で最もお金のかかるもの」を必要とするのは、結婚して家族を持ったばかりの30代や、子どもたちの教育費が本格的にかかる前の40代前半ではないでしょうか。これら、消費行動の強さを、「購買意欲」といいます。

高齢者層の話に戻ります。高齢者層を定義すると、「所有資産は多いが、購買意欲は低い」ことが言えます。一般的な話にはなりますが、高齢者層は既に住宅を数十年前に購入しています。生命保険を長い間、保険料支払を続けており、契約者によっては解約してお金を受け取る「解約返戻金」の手続きを考えている方もいることでしょう。
自動車にしても同じです。子どもたちが大きくなり、長い時間ハンドルを握ることも少なくなります。

2、 若年層の特徴 ~ 「所有資産」は低いが「購買意欲」は高い

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一方の、既に文中にて触れてきていますが、若年者層の定義について確認します。若年者層は、「所有資産が低いが購買力は高い」ということが言えます。賃金カーブが上昇する前ですが、結婚費用や出産費用など、生活には様々なお金がかかります。定期的な貯蓄が難しいのも、この世代の特徴です。

3、生前贈与は、「孫に遺す」時代に

この「所有資産の世代間ギャップ」を是正しつつ、相続税の節税となる「精算課税」は、盛んに行われてきました。まさに「親から子へ」の資産移動となるのですが、最近は更に離れた世代間として、「祖父母から孫へ」という資産移動が注目されています。

国主導で定められる、「特定の贈与行為への非課税措置」も、この「孫に遺す」ことが推奨されています。背景には、購買意欲の高い孫世代に積極的な資産移動をすることで、消費をより活発化させ、景気を更に上向きにしたいという意図もあります。

次回の記事では、この様々な背景をもとにして、「孫に遺す」ための具体的な生前贈与の方法を見ていくこととしましょう。