生前贈与の代表格!相続時精算課税制度について知ろう

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前回の記事で、2015年1月に行われた相続税の改正ポイントをまとめました。最近、この相続税を回避するため、贈与税の活用をする方が増えています。

相続税増税が決定した後、2014年5月の国税庁発表によると、贈与税の申告書を提出した方は49万1,000人。2012年調査の43万7,000人から5万5,000人(12.6%)増加しています。

この贈与税。まず基礎控除をおさえましょう。
贈与税の基礎控除は、「法定相続人1人あたり年間110万円まで」です。贈与税は相続税のような定額控除がなく、所得により最大55%(平成27改正以降)もの高い税率が課せられます。また、相続人1人への集中した財産譲渡を避けるため、「相続開始3年以内の贈与は相続贈与と見なす」という決まりがあります。

この「毎年コツコツ型」の110万円贈与を「暦年贈与」といいます。毎年110万円に達しない贈与をすることで、贈与税課税の対象にならず、長い時間をかけて贈与をしていこうという考え方です。この暦年贈与とは対照的に、一括贈与で子どもたちへの財産移転に有効なのが「相続時精算課税制度」です。

相続税精算課税制度について

相続税精算課税制度は、贈与の対象が法定相続人の場合(推定相続人、といいます)に活用できる制度です。

現在財産を所有している人をAさん、法定相続人で財産を受け取る予定の子どもをBさんとします。贈与時にAさんは2,500万円を超える部分の贈与税(20%)のみを支払い、その後のAさん死亡時(相続時)に、Bさんは贈与財産と相続時の財産を合算して相続税を算出し、すでに支払った贈与税を相続税から控除します。

また、適用対象には年齢条件があり、贈与者の年齢制限を60歳以上、同じく受贈者には20歳以上の子や孫を、という条件があります。この年齢条件は「贈与時」ではなく、「贈与をした年の1月1日において」です。当初、贈与者は65歳以上、受贈者は子のみの適用だったのですが、平成27年以降の贈与から拡大しています。

贈与できる資産は現金のみ。株や不動産の譲渡には適用されません。また、この規定を利用して「贈与税が課されない場合」も、贈与税の申告書を期限内(贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日まで)に提出することが決められています。

「住宅購入の頭金」として使われる相続時精算課税制度

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実際には、この相続時精算課税制度は「子が住宅購入をする際の頭金」に親からの資金提供に使われています。この場合、「住宅資金等贈与の非課税措置」と併用ができますが、こちらは「贈与を受けた翌年3月15日まで物件引渡しを受け、すみやかに入居しなければいけない」や「住居が適切な大きさである」という条件があるため、銀行や専門家に確認するようにしましょう。

贈与税が2,500万円まで非課税、超過分も少額の課税で済むメリットがあります。ただ、相続税精算課税制度をいったん利用すると、通常の110万円の課税(暦年課税)には変更ができないことに注意をする必要があります。

父からの贈与、母からの贈与で別々の方法を使う

贈与の方法は、父母ごとに選択が可能です。父親からの贈与は年110万円までの暦年課税制度とし、母親からは相続時精算課税制度の適用を受けることができます。また、夫婦が両親から贈与を受ける場合は、両方からそれぞれ精算課税制度の適用を受け、非課税枠を2,500万円×2の5,000万円まで拡げることも可能です。

このように工夫をして、円滑な相続財産の移転を進めていきましょう。次回は、このほかの贈与時の特例措置についてです。