家族同士の「みまもり」資産管理…家族信託とは?

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相続や贈与の世界で、少し前から「家族信託」という言葉をよく聞きます。家族同士で信託(財産の管理委託)をする…、家族同士なのだから当たり前ではないかと思うでしょうか。ただ、いわゆる相続時における「争族」となるのも家族同士が多いという見解もあるほど。家族信託とはどういうものなのか。そして、争族をどのように回避するものなのでしょうか。

1、家族信託と任意管理

家族信託の前に、「後見制度」について理解しておきましょう。成年後見とは、病気などが原因で判断能力が低下した資産の持ち主(高齢者など)に対し、後見人をつけて資産管理から老人ホームの入居など身上における諸判断の手助け(若しくは代理)をする制度です。長い間、この後見制度は日本で定着しているのですが、この任意後見には次のような問題があります。

<任意後見制度の問題点>

① 裁判所の管理下に置かれるため、運用が硬直的

② 病気のみ、高齢のみ、ではなく、本人の判断能力低下を以て利用できる

③ 親族が法定後見人の場合、お金の流用リスクがある

また、成年後見は財産の維持しかできず、財産を組み替える、運用をする権限が後見人には与えられません。また、成年後見制度が利用できるは後見対象(被後見人、といいます)の生存中のみ、という特色もあります。

2、家族信託とは

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家族信託とは、被後見人が判断能力のあるうちから、財産権に関する意思決定権を委託し、第三者に渡して貰ったり、自身に還して貰ったりする制度のことです。

家族信託は、主に委託者(A」、受託者(B)、受益者(C)に分かれる「3人から構成される関係」です(ケースにより2人、ということもあります。後ほどご説明します)。

A-B-Cがそれぞれ異なる場合

家族信託で最も使用頻度の高いのは、委託者、受託者、受益者がそれぞれ異なる場合です。たとえば委託者が財産を所有しており、受益者に渡したいが自身には知識もなく、万が一なくなった場合の相続により財産が分かれるのを避けたい。という場合、受託者(B)は委託者(A)と「信託契約」を結び、発生した利益を受益者(C)に渡すことができます。

委託者(A)と受益者(C)が同一の場合

また、委託者と受益者が同一の場合もあります。この場合は、委託者の財産を受託者が「運用管理」することによって、委託者の財産を増やすことや、組み替えたりすることが可能です。たとえば相続の前に、「(法定相続人が多いので現預金を準備したいが、どうすればいいかわからない)」という委託者がいたとします。

この場合、信託銀行など財産管理をしている企業に委託をするのもひとつの方法ですが、手数料の問題や、「委託者の思ったように資産運用をしてはもらえない場合」があります。その時に委託者のお子さまや、兄弟姉妹などが受託者となって、委託者に相談しながら財産管理をしていくことが家族信託では可能となります。その結果発生した利益は、委託者に戻すことができますね。このような方法により、積極的に資産管理を進め、「争族」を避ける取り組みが可能となります。

3、受託者に、「プロの眼」をつける

実際の家族信託の現場では、受託者に「信託管理人」を定める方法も多く行われています。例えば3人のなかに入っていない親族が定期的に受託者の事務や金銭管理を監督する方法や、信託管理人を司法書士などの専門家にして、受託者の補佐役になる形式も広く採用されています。つまり、受託者に「プロの眼」をつける、ということですね。

日本では急速に高齢化が進んでいます。一方で、1,600兆円を超える金融資産は高齢者に集中しており、かつ流動性の低い(簡単には譲渡できない)不動産が多いのも問題です。スムーズに資産を引き継ぐ家族信託。次回は、そんな家族信託と税金の関係についてお伝えします。