不動産の価値をざっくり知る方法

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相続について意識の高いみなさんは、このサイトをご覧になって、「遺言書を生前に作成しておくこと」の大切さはよく理解されていると思います。「家族のために、しっかりと遺言書を作成しよう!」と、今から資産を分ける配分など考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでも気を付けていただきたい問題は「遺留分」です。
例えば、長男に自宅を、長女に預貯金○○万円を、と記載したとします。この時、ご自宅の価値が預貯金より著しく高かった場合は、長女の遺留分を侵害してしまうことになります。
ということは、遺言書を作成する前に、ご自宅など所有している不動産はいったいいくらなのか、ということを知っておく必要がありますね。実際に相続が発生した際は細かな規定などがあり、計算は複雑なため税理士への依頼が必要ですが、現時点で、ご自身でおおよその金額を知ることができる方法はあるのです。

以下にご紹介します。

1、土地の価値は、「前の道路」または「所在するエリア」で決まる

そもそも、土地はどのように値段が付けられるのかご存知ですか?
なんとなく、駅からの距離や生活する上での便利さ、土地の大きさなどではないか、という見当は付くのではないでしょうか。
それら様々な要素を勘案して、大きく2種類の評価方法(評価エリア)があります。
そしてその2種類の評価方法を行うに当たって、必要な情報は国税庁のHPで公開されています。(路線価図・評価倍率表http://www.rosenka.nta.go.jp/)

(1) 相続税路線価エリア
まず一つめは、先ほど皆さんが思い浮かべた項目、それらをすべて勘案して、「道路」に値段が付けられている場合です。この道路につけられた値段を「路線価」と言います。特に、相続税で使う路線価のことを「相続税路線価」と言います。
対象不動産の前の道路についた相続税路線価をもとに、相続時の土地の値段を計算します。この評価を適用するエリアの場合は、

前の道路の値段 × 土地の面積 = 相続時の土地の値段

上記の計算方法で算出することができます。
実際の相続では、細長い土地で使いづらい場合や、2つの道路に面していて便利な場合など、細かな要素も評価に関わってくるため、上記の算出方法で100%正しい値段が求められるわけではありません。しかしおおよその目安としては十分に利用価値があるのではないかと思います。

(2) 倍率エリア
もう一つは、「倍率方式」という評価方法を使う場合です。
この場合は、「倍率表」を見て、対象不動産があるエリアの指定された倍率を、毎年ご自宅に送られてくる「固定資産税の課税明細書」に記載されている、土地の評価額に掛け算して求めます。

固定資産税の土地の評価額 × 該当エリアの倍率 = 相続時の土地の値段

という計算方法で求めることができます。

(3) どちらのエリアなのかは自分で選ぶことはできない
上記の2種類の方法が土地の値段を算出する方法ですが、これは、「こちらが良いな」とご自身で選ぶことができるものではありません。国税庁によって、どちらのエリアになるのかは予め決められており、国税庁のHPで確認することができます。
対象不動産の前の道路に値段がついていたら「路線価エリア」、値段がついていなければ「倍率エリア」ということになります。
どちらのエリアに該当するかは、前出の国税庁のHPで住所を追っていくと分かるでしょう。

2、建物の値段 = 「固定資産税の課税明細書」

建物の値段は、土地の値段と違い難しいことはありません。毎年送られてくる「固定資産税の課税明細書」にその年の建物の値段が記載されているからです。この記載されている値段がそのまま建物を相続する時の値段だと見て問題ありません。

3、まとめ

いざ遺言書を準備しても、不動産の価値が全く分かっていない場合は、結局遺留分の問題などで家族を揉めさせることになりかねません。
ご自身で、おおよそで構いませんので価値を知っておけば、よりスムーズに相続対策ができるでしょう。

工藤 崇 FP事務所MYS(マイス)代表
1982年北海道生まれ。北海学園大学法学部卒業後上京し、資格試験予備校、不動産会社、建築会社を経てFP事務所MYS(マイス)設立、代表に就任。雑誌寄稿、WEBコラムを中心とした執筆活動、個人コンサルを幅広く手掛ける。ファイナンシャルプランナー。