タワーマンション節税ができなくなる?―節税スキームとこれから

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前回の記事では、タワーマンションにおける相続時評価額と売却価格の違いをお伝えしました。ここまでを踏まえたうえで、今回問題になった「タワマン節税」を説明します。

「タワマン節税」の具体的方法ついて

前記事の繰り返しになりますが、相続税評価額は高層階の部屋も低層階も変わりません。一方、売却価格は高層階が圧倒的に高い値段がつきます。

タワマン節税とは、「相続発生前にタワーマンションの高層階を購入すること」です。ただし継続的に所有するのではなく、購入してお子様など法定相続人に相続したのち、お子様は売却をします。これにより、そのまま相続税課税対象となる現金を相続した時に比べ、相続税を大幅に抑制することができます。

2015年1月の相続税改正により、相続資産の多い相続に対しての税率が50%から55%に引き上げられました。基礎控除の削減も追い風となり、富裕層のあいだでは、相続税節税のためにタワーマンションを購入し、相続後すぐに売却をする動きが広がりました。

「タワマン節税」の何が問題?

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この方法は相続税評価額の特徴を掴んだひとつの「節税方法」であり、この方法自体に違法性のあるものではありません。ただ、国税庁が指摘したのには、2つの理由があると言われています。

(1)  富裕層だけが活用できる

このタワマン節税。タワーマンションの高層階を購入するため、購入資金のある富裕層だけが活用できる節税方法です。相続税は基礎控除が高いため、もともと「富裕層の税金」と言われてはきましたが、2015年の基礎控除削減も後追いとなり、「公平な税負担を欠く」として、追徴課税の指示があったと考えられています。

(2)  相続後の恣意的な売却が相次いだ

相続後にタワーマンションを売却することが駄目だ、と言われても、止むを得ず売却をする方もいます。その売却はまったく咎められるものではないのですが、今回「タワマン節税に注目」という話で出回り、購入後居住実績もなく、相続を迎え売却するという「財テク」の面が強調されました。それにより「資産家だけが使える相続対策」のイメージが広まり、国税庁が監視に乗り出した、という構図です。

相続対策の書籍やインターネットでも、「タワマン節税に注目」という言葉が躍りました。タワーマンションはこの10数年のあいだに本格的に認知されてきたもの。この「現在の住まい」を上手に使った節税、という側面ではなく、税金逃れとして印象付けてしまったのですね。

「タワマン節税」はこれからどうなるのか。

それでは国税庁は、今後をどのように考えているのでしょうか。

今回の指示を報じた11月3日付けの日本経済新聞によると、国税庁は「行き過ぎた節税策と判断されれば、今後は相続税が追徴課税される」と伝えています。

相続の直前に被相続人によって購入され、相続後短期間で売却されたタワーマンションの一室というケースには、「行き過ぎた節税」として追徴課税が示されることになりそうです。

今回の勧告によって、節税のみを目的としたタワーマンションの購入は一時的に下火になると思われます。ただ、資産上タワーマンションを売却することが止むを得ない場合や、居住実績があり、「住まいとして活用していたが、結果的に節税になった」というケースには、そこまで厳しく追徴課税とはならないのではないか、とも言われています。日本経済新聞は「具体的な勧告対象のケース」は決まってないとしています。

今後、少しずつ具体的な取締となる定義が決まってくると思われる「タワマン節税」。動きに注視していきたいものです。